参加する誰もが「台風直撃とは……さすがに今回の登山は難しいのでは?」と思っていた9月18日、驚く程の秋晴れが私達を迎えました。
ここ数日の曇天が嘘の様に空は晴れ晴れ、まさに登山びよりといった具合の澄みきった空気の中、37名の参加者を乗せたバスは出発しました。
下は小学一年生、上は教化部長を筆頭として各年代がずらりと揃ったこの一行、和気藹々と長野県は入笠山へと向かいます。バスの中では自己紹介に続き、参加されたお子様達による聖歌・童謡の調べが車内を沸かせました。
台風を懸念して旅行者が少なかったのか渋滞もなく、バス内での楽しさもあって登山口まではあっという間でした。
入笠山は緩やかな勾配が続く山で、道中では秋らしくきのこの姿がちらほらと。紅葉にはまだ早いらしく、夏の色合いを残した緑が木漏れ日を受けて眩しいくらいでした。
この山の名所の一つであるお花畑に着くと世界は一気に秋めいて、りんどうの紫が広がっていました。早く近くで見たいという思いはちょっと横に置いておいて山小屋に寄ってお昼を広げます。この山で取れたきのこ汁の優しい味わいに、ご飯が益々美味しく感じられ、あっという間にたいらげてしまいました。
お昼を畳んで再出発。お花畑をゆっくり見るのは帰りの楽しみに取っておき、まずは山頂を目指します。
山頂は標高1955メートル。この辺りまで来ると岩場も多くなり、なかなか険しくなってきましたが、振り返れば八ヶ岳のくっきりした稜線と、秋ならではの金色の田んぼのコントラストが美しく、「早く山頂へ」という想いが募るばかりでした。
そして迎えた山頂から眺める景色の素晴らしさたるや!
360度のパノラマに展開される山々はどれも違う表情を見せていて、「こんなに山肌までくっきり見えるのは台風のおかげだね」と災害と称される台風も自然の営みの一つなのだと皆で感謝しました。
名残を惜しみながら下山し、待ちかねていたお花畑を巡ります。女性陣にはこのお花畑を楽しみにしていた方も多く、疲れも忘れて花に見入りました。
お花畑を抜けたら後はゴンドラで一気に麓まで。なかなかのスピードで下っていくゴンドラに大人ははらはらしましたが、子供達は帰りのバスで「楽しかった!」と喜びを語っていました。
「次はどの山に登ろうか?」「花の綺麗な山がいい」「いや、もっと標高の高い山に……」そんな会話を交わしつつ、時折疲れでまどろみながら、気付けば新宿の明るい街並みの中に。またの参加を約束しつつ皆にこやかに解散。次回は春を予定しているこの野外学習会。どうぞお次は皆さんもご参加されませんか?
(記/asahina)